膝の手術を避けたい方へ|再生医療という選択肢と考え方を解説
膝の痛みが長く続くと、「このまま悪化したら手術が必要になるのではないか」と不安になる方は少なくありません。特に変形性膝関節症では、痛み止め、ヒアルロン酸注射、リハビリ、装具療法などを行っても症状が残る場合、人工関節置換術などの手術が検討されることがあります。
一方で、すぐに手術を決めるのではなく、「その前にできる治療を知りたい」「できるだけ自分の膝を残したい」と考える方もいらっしゃいます。
再生医療は、膝関節の痛みや炎症に対して、患者様ご自身の細胞の働きを活用する治療選択肢のひとつです。すべての方に適しているわけではありませんが、手術以外の方法を検討したい方にとって、医師と相談する価値のある選択肢といえます。
この記事でわかること
- 膝の手術を検討する前に整理したい考え方
- 変形性膝関節症に対する再生医療の位置づけ
- 再生医療で期待されることと限界
- 膝関節への幹細胞投与を検討する際の流れ
目次
膝の手術を避けたいと感じるのは自然なこと
膝の手術を勧められたときに、「できれば切らずに済ませたい」と感じるのは自然なことです。手術そのものが悪いわけではありませんが、身体的な負担、入院、リハビリ、術後の生活への影響を考えると、慎重に判断したいと考える方も多いでしょう。
変形性膝関節症の治療では、症状の程度や生活への支障に応じて、保存療法から手術まで複数の選択肢があります。代表的な保存療法には、運動療法、体重管理、薬物療法、注射療法、装具療法などがあります。AAOSの膝OA診療ガイドラインでも、成人の膝OAに対して、非薬物療法・薬物療法・関節置換術より侵襲の少ない処置などを含めた治療選択が整理されています。
そのため、手術を検討する前には、まず次のような点を整理することが大切です。
- 現在の膝の状態はどの程度進行しているか
- これまでの保存療法でどの程度変化があったか
- 日常生活で何に一番困っているか
- 手術以外の選択肢を検討できる段階か
再生医療は、このような整理を行ったうえで検討される選択肢のひとつです。
膝関節に対する再生医療とは
膝関節に対する再生医療では、主に幹細胞やその周囲に関わる働きに注目します。幹細胞は、体内で組織の修復に関わるさまざまな物質を分泌し、炎症や組織環境に影響を与えることが報告されています。
変形性膝関節症は、単に「軟骨がすり減る病気」だけではありません。関節内の炎症、滑膜の反応、筋力低下、体重負荷、歩き方など、複数の要因が関係します。
そのため、再生医療を考える際は、「軟骨を完全に元通りにする治療」と捉えるのではなく、関節内の環境に働きかけ、痛みや動きにくさの改善を目指す治療として理解することが大切です。
膝OAに対する間葉系幹細胞治療については、痛みや機能の変化を評価した研究が報告されています。2024年のシステマティックレビューでは、12か月時点で痛みの軽減が示された一方、エビデンスの確実性には課題があるとされています。
再生医療は手術の代わりになるのか
再生医療は、必ずしも手術の完全な代わりになる治療ではありません。膝関節の変形が高度に進行している場合や、骨の変形が強い場合には、手術が適していることもあります。
一方で、症状や画像所見、生活上の困りごとによっては、すぐに手術を決める前に、再生医療を含めた治療選択肢を検討できる場合があります。
再生医療の位置づけは、次のように考えるとわかりやすいでしょう。
- 保存療法と手術の間で検討される選択肢
- 痛みや関節機能の改善を目指す治療
- 手術の必要性や時期を医師と相談するための材料
- 自由診療として、十分な説明を受けたうえで検討する治療
大切なのは、「再生医療を受ければ手術を避けられる」と断定して考えないことです。現在の膝の状態に対して、どの治療が現実的かを医師と確認することが重要です。
再生医療を検討しやすいケース
膝関節への再生医療は、すべての方に同じように適しているわけではありません。適応は、診察、画像検査、既往歴、服薬状況、生活背景などを踏まえて判断されます。
検討しやすいケースとしては、たとえば次のような方が考えられます。
- 変形性膝関節症と診断され、膝の痛みが続いている
- 保存療法を続けても十分な改善を感じにくい
- すぐに手術を決めることに不安がある
- 入院や長期リハビリの前に他の選択肢を知りたい
- 自由診療であることを理解したうえで相談したい
ただし、変形の程度が強い場合や、感染症、重い全身疾患、血液疾患などがある場合には、治療が適さないこともあります。実際に治療を受けられるかどうかは、医師による診察と検査をもとに判断されます。
受ける前に知っておきたい注意点
再生医療を検討する際は、期待できる可能性だけでなく、限界やリスクも理解しておく必要があります。特に、効果を保証する治療ではないことを前提に考えることが大切です。
事前に確認しておきたい点は、次の通りです。
- 効果には個人差がある
- 痛みや機能の改善を保証する治療ではない
- 自由診療のため公的医療保険の対象外となる
- 注射部位の痛み、腫れ、内出血、感染などのリスクがある
- 適応判断には医師の診察と検査が必要
また、膝の痛みは関節内だけでなく、筋力低下、体重負荷、歩き方、姿勢、腰や股関節の状態が関係していることもあります。そのため、再生医療だけに頼るのではなく、リハビリや生活習慣の見直しも含めて総合的に考えることが望まれます。
膝関節への幹細胞投与を検討する際の流れ
膝関節への幹細胞投与を検討する場合は、まず現在の膝の状態を正しく把握することが大切です。痛みの原因や変形の程度によって、再生医療が選択肢になり得るかどうかは異なります。
診察では、痛みの出方、歩行時の困りごと、これまで受けてきた治療、画像検査の結果などをもとに、治療の適応を確認します。再生医療は自由診療であり、すべての方に同じ効果が期待できる治療ではないため、メリットだけでなく、限界やリスクも含めて理解したうえで判断することが重要です。
また、膝の痛みは関節内だけでなく、筋力低下、体重負荷、歩き方、姿勢などが関係していることもあります。そのため、幹細胞投与を検討する場合でも、日常生活での膝への負担や運動習慣についてあわせて見直すことが望まれます。
膝の再生医療について、あわせて確認したい記事
膝関節内MSC投与で目指すこと
適応・適応外の考え方
期待値と効果判断のポイント
経過の見方と判断の考え方
他治療との違い・併用の考え方
幹細胞治療全体の内容や流れについては、 幹細胞療法の詳細ページ もご確認ください。
まとめ
膝の痛みが続き、手術を勧められたときに、すぐに決断できないのは自然なことです。変形性膝関節症では、保存療法、再生医療、手術など複数の選択肢があり、どれが適しているかは膝の状態や生活背景によって異なります。
再生医療は、膝関節の炎症や痛み、機能の改善を目指す選択肢のひとつです。ただし、効果を保証するものではなく、すべての方に適しているわけでもありません。
手術を避けたい、または手術の前に他の方法を知りたい方は、まずは医師に相談し、ご自身の膝の状態を正しく把握することから始めてみてください。
クリニック案内
N2クリニック銀座本院では、膝関節への幹細胞投与を自由診療として行っています。治療を希望される場合は、医師が膝の状態や全身状態を確認し、適応を慎重に判断します。
再生医療は、治療内容や細胞の取り扱いに品質管理が求められる医療です。N2クリニック銀座本院では、厚生労働省に届出された再生医療等提供医療機関として、医師による診察と説明を行ったうえで、患者様ごとの状態に応じた治療方針を検討します。
「手術を避けたい」というお気持ちだけで治療を決めるのではなく、現在の膝の状態でどの選択肢が考えられるのかを知ることが第一歩です。
治療内容や費用、適応について確認したい方は、ご予約・ご相談からご確認ください。
監修クリニック情報
N2クリニック銀座本院
住所:東京都中央区銀座6丁目6-5 HULIC &New GINZA NAMIKI6 11階
TEL:03-3289-0202
診療時間:10:00〜18:30
休診日:日曜日
最寄駅:各線銀座駅B5番出口より徒歩4分
記事監修者名
竹島 昌栄(N2クリニック銀座本院 院長)
参考文献
- Brophy RH, et al. Management of Osteoarthritis of the Knee(Non-Arthroplasty). J Am Acad Orthop Surg, 2022.
- Tabet CG, et al. Advanced therapy with mesenchymal stromal cells for knee osteoarthritis: Systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. J Orthop Translat, 2024.
- Tian X, et al. Relative efficacy and safety of mesenchymal stem cells for knee osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis, 2024.
- Cao M, et al. Efficacy and safety of mesenchymal stem cells in knee osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials, 2025.
