変形性膝関節症に対する幹細胞治療とは?膝の痛みで手術以外の選択肢を考える方へ

変形性膝関節症への幹細胞治療について、膝関節内MSC投与で目指すことを示したヒーロー画像

変形性膝関節症に対する幹細胞治療とは?膝の痛みで手術以外の選択肢を考える方へ

膝の痛みが長く続き、階段の上り下りがつらい、歩き始めにこわばる、ヒアルロン酸注射を続けているけれど今後が不安。そのようなお悩みがある方にとって、変形性膝関節症に対する幹細胞治療は、手術以外の選択肢として検討されることがある再生医療の一つです。

変形性膝関節症では、軟骨のすり減りだけでなく、関節内の炎症や組織環境の変化が痛みや動きにくさに関わることがあります。幹細胞治療では、こうした膝関節内の環境に着目し、痛みの軽減や動きやすさの改善を目指します。

「まだ手術までは考えていない」「今の治療を続けるだけでよいのか知りたい」「自分の膝で幹細胞治療が選択肢になるのか確認したい」という方は、まず現在の膝の状態を整理することが大切です。

この記事では、変形性膝関節症に対する幹細胞治療について、期待される働き、検討しやすい方、相談前に確認したいことをわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 変形性膝関節症で痛みが続く背景
  • 膝関節への幹細胞投与で目指すこと
  • ヒアルロン酸注射やPRPとの考え方の違い
  • 治療を検討する前に確認したいポイント

変形性膝関節症では膝の中で何が起きているのか

変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減るだけの疾患ではありません。関節内の炎症、骨の変化、筋力低下、体重負荷、歩き方のくせなどが重なり、痛みや動かしにくさにつながります。

膝の軟骨は、関節の動きをなめらかにし、歩行時の衝撃をやわらげる役割を持っています。しかし、加齢や膝への負担が続くと、軟骨の弾力が低下し、関節の中で炎症が起こりやすくなります。

その結果、次のような症状が出ることがあります。

  • 立ち上がりや歩き始めに膝が痛む
  • 階段の上り下りがつらい
  • 膝がこわばる、曲げ伸ばししにくい
  • 膝に水がたまる
  • 長く歩くと痛みが強くなる

こうした症状が続くと、外出を控える、運動量が減る、筋力が落ちるという流れにつながることがあります。膝の痛みは、単に「年齢のせい」と片づけるのではなく、現在の状態を確認し、今後の治療方針を整理することが大切です。

変形性膝関節症で膝の中に起こる軟骨の弾力低下、関節内の炎症、骨の変化、筋力低下、歩き方のくせなどを整理した図解

膝関節への幹細胞投与とは

膝関節への幹細胞投与とは、間葉系幹細胞、いわゆるMSCを膝関節内に投与し、関節内の環境に働きかけることを目指す治療です。

MSCは、脂肪組織や骨髄などに存在する細胞で、炎症や組織修復に関わるさまざまな物質を分泌することが研究されています。近年は、細胞そのものが軟骨に置き換わるというよりも、周囲の細胞や炎症環境に影響を与える働きが注目されています。

変形性膝関節症では、痛みの原因が軟骨だけに限られるわけではありません。関節内の炎症、滑膜の反応、骨や周囲組織の変化などが複雑に関わります。そのため、膝関節への幹細胞投与では、すり減った部分だけを見るのではなく、膝の中の環境全体をどのように整えていくかが重要な視点になります。

「今の膝で何を目指せるのか」を知るには、画像検査や診察を通じて、変形の程度、炎症の有無、痛みの出方、これまでの治療歴を確認する必要があります。

膝関節への幹細胞投与について、MSCを膝関節内に投与し関節内の環境に働きかける考え方を整理した図解

幹細胞治療で期待される働き

膝関節への幹細胞治療では、痛みを一時的に抑えることだけではなく、関節内の炎症や修復環境への関与を含めて経過を見ていきます。目標は、画像上の変化だけでなく、日常生活の中でどの程度動きやすくなるかを含めて考えることです。

期待される働きとしては、次のような点が挙げられます。

  • 関節内の炎症環境に働きかける
  • 膝の痛みの軽減を目指す
  • こわばりや動かしにくさの改善を目指す
  • 歩行や階段動作など、日常生活のしやすさを目指す

特に、膝の痛みが続いている方にとって大切なのは、「治療を受けるかどうか」だけでなく、「この膝の状態で、どの治療をどの順番で考えるべきか」を整理することです。

幹細胞治療は、すべての方に同じ結果が出る治療ではありません。変形の進行度、筋力、体重、活動量、これまでの治療歴によって経過は異なります。そのため、治療前には、期待できることと難しいことを医師と確認したうえで検討することが大切です。

膝の幹細胞治療で期待される炎症環境への働きかけ、痛みの軽減、こわばりや動きにくさの改善、日常生活のしやすさを整理した図解

ヒアルロン酸注射やPRPとはどう違うのか

膝の痛みに対する治療として、ヒアルロン酸注射やPRPと幹細胞治療を比較される方は少なくありません。ただし、これらは単純に「どれが一番よいか」で比べるものではなく、目的や位置づけの違いで考えることが大切です。

ヒアルロン酸注射は、関節内の潤滑や症状緩和を目的に行われることが多い治療です。PRPは、自分の血液から血小板成分を取り出し、組織修復に関わる成分を活用する治療として説明されることがあります。

一方、幹細胞治療は、細胞を用いて関節内の炎症や修復環境への関与を目指す治療です。

比較するときに確認したいのは、次のような点です。

  • 現在の膝の状態に合っているか
  • 何を目的に治療するのか
  • どのくらいの期間で経過を見るのか
  • ほかの治療と組み合わせて考える意味があるか

ヒアルロン酸注射を続けている方でも、すぐに幹細胞治療が必要とは限りません。ただ、「注射を続けているけれど不安が残る」「手術を急ぐ前に他の選択肢も知りたい」という場合は、一度治療方針を整理する価値があります。

膝の治療におけるヒアルロン酸注射、PRP、幹細胞治療の目的や位置づけの違いを整理した比較図解

どのような方が相談を検討しやすいか

膝関節への幹細胞治療は、変形性膝関節症と診断された方のうち、保存療法を続けても痛みや不安が残る方に検討されることがあります。

たとえば、次のような方は一度相談を検討しやすいと考えられます。

  • 階段や歩行時の膝の痛みが続いている
  • ヒアルロン酸注射や内服薬だけでは今後が不安
  • 手術を急ぐ前に、他の選択肢も知っておきたい
  • 自分の膝をできるだけ保ちながら治療を考えたい
  • 痛みだけでなく、動きやすさも含めて改善を目指したい

一方で、膝の変形が高度に進んでいる場合や、関節の構造変化が大きい場合には、手術を含む他の治療が適していることもあります。

大切なのは、「幹細胞治療を受けたい」と決めてから相談することではありません。まずは自分の膝の状態を確認し、幹細胞治療が選択肢になり得るのか、ほかに優先すべき治療があるのかを整理することです。

膝の痛みや歩行時の不安、ヒアルロン酸注射や内服薬への不安、手術以外の選択肢を知りたい方に向けた相談の目安を整理した図解

治療前に確認しておきたいこと

膝関節への幹細胞治療を検討するときは、期待だけでなく、限界やリスク、費用も含めて確認することが大切です。

治療前には、次の点を医師に確認しましょう。

  • どの細胞を、どのように使用するのか
  • 自分の膝の状態で何を目標にするのか
  • 治療後、どのように経過を確認するのか
  • 費用や通院回数はどのくらいか
  • 痛み、腫れ、感染などのリスクはあるか
  • 他の治療法との違いや併用の考え方

幹細胞治療は自由診療です。保険診療とは異なり、費用は原則として自己負担になります。

膝の痛みが続いていても、すぐに治療を決める必要はありません。まずは現在の膝の状態を確認し、幹細胞治療が選択肢になり得るのか、ほかに優先すべき治療があるのかを整理することが大切です。診察では、治療の目的や経過の見方も含めて、医師がわかりやすく説明します。

膝関節への幹細胞治療を検討する前に、使用する細胞、治療目標、経過確認、費用、リスク、他の治療法との違いを確認するためのチェックリスト図解

膝の幹細胞治療について、あわせて確認したい記事

自分が対象になるか知りたい

適応・適応外の考え方

期待できることや限界を知りたい

期待値と効果判断のポイント

治療後の経過や個人差を知りたい

経過の見方と判断の考え方

回数や継続の考え方を知りたい

一度で十分か、継続をどう考えるか

ヒアルロン酸注射やPRPとの違いを知りたい

他治療との違い・併用の考え方

幹細胞治療全体の基本については、 幹細胞治療とは?仕組みと特徴をわかりやすく解説 もご確認ください。

まとめ

変形性膝関節症では、軟骨のすり減りだけでなく、関節内の炎症や組織環境の変化が痛みや動かしにくさに関わることがあります。膝関節への幹細胞治療は、こうした関節内の環境に着目し、痛みの軽減や動きやすさの改善を目指す再生医療の一つです。

ヒアルロン酸注射を続けているものの不安がある方、手術を急ぐ前に他の選択肢を知りたい方、膝の痛みで日常生活に支障を感じている方は、まず現在の膝の状態を確認することから始めてみてください。

幹細胞治療が適しているかどうかは、膝の状態やこれまでの治療歴によって異なります。だからこそ、自己判断で決めるのではなく、医師と一緒に「自分の膝で何を目指せるのか」を整理することが大切です。

クリニック案内

N2クリニック銀座本院では、変形性膝関節症に対する再生医療を検討される方に、膝の状態やこれまでの治療歴をふまえた診療を行っています。

膝関節への幹細胞投与を単独で考えるのではなく、保存療法、注射治療、リハビリ、手術を含む他の選択肢との位置づけを整理しながら、患者様ごとの治療方針を検討します。

「このままヒアルロン酸注射を続けてよいのか不安」
「手術以外の選択肢も知っておきたい」
「自分の膝で幹細胞治療が検討できるのか確認したい」

このようなお悩みがある方は、まずは一度ご相談ください。診察では、治療を前提にするのではなく、現在の膝の状態を確認し、幹細胞治療が選択肢になり得るか、ほかに優先すべき治療があるかを医師が説明します。

治療内容や費用、適応について確認したい方は、からご確認ください。

監修クリニック情報

N2クリニック銀座本院
住所:東京都中央区銀座6丁目6-5 HULIC &New GINZA NAMIKI6 11階
TEL:03-3289-0202
診療時間:10:00〜18:30
休診日:日曜日
最寄駅:各線銀座駅B5番出口より徒歩4分

N2クリニックとは

記事監修者名

竹島 昌栄(N2クリニック銀座本院 院長)

医師紹介

参考文献

  • 日本整形外科学会. 変形性膝関節症診療ガイドライン2023.
  • Mindsガイドラインライブラリ. 変形性膝関節症診療ガイドライン2023.
  • Tian X, et al. Relative efficacy and safety of mesenchymal stem cells for osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Frontiers in Endocrinology. 2024.
  • Cao M, et al. Efficacy and safety of mesenchymal stem cells in knee osteoarthritis: meta-analysis of randomized controlled trials. 2025.
  • 厚生労働省. 再生医療等提供機関の情報について.
  • 厚生労働省. 届出された再生医療等提供計画(治療)の一覧.
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