幹細胞は体のどこにある?骨髄・脂肪・皮膚など存在する場所と役割を解説

骨髄、皮膚、腸、筋肉、脂肪組織など体内のさまざまな場所に幹細胞が存在することを示したヒーロー画像

幹細胞は体のどこにある?体内で働く場所と役割

幹細胞というと、「特別な場所にだけある細胞」というイメージを持つ方もいるかもしれません。

実際には、私たちの体には複数の種類の幹細胞があり、骨髄、皮膚、腸、筋肉、脂肪組織など、それぞれの組織に適した場所で存在しています。

重要なのは、体内の幹細胞がすべて同じ働きをするわけではないという点です。血液をつくる幹細胞、皮膚を維持する幹細胞、筋肉の修復に関わる幹細胞などがあり、それぞれが組織の状態を保つために働いています。

この記事でわかること

  • 幹細胞が体内のどこに存在するのか
  • 場所によって幹細胞の役割がどう違うのか
  • 脂肪組織にも幹細胞が存在する理由
  • 体内の幹細胞と再生医療の関係

幹細胞は体のさまざまな場所に存在する

成人の体内にある幹細胞は、「体性幹細胞」または「組織幹細胞」と呼ばれ、それぞれの組織の維持や細胞の補充に関わっています。

幹細胞は全身を同じように漂っているわけではありません。多くの場合、それぞれの組織の中にある特定の環境に存在し、必要に応じて細胞を生み出します。

代表的な場所としては、

  • 骨髄
  • 皮膚や毛包
  • 腸管
  • 骨格筋
  • 脂肪組織

などが挙げられます。

骨髄、皮膚、腸、筋肉、脂肪組織に存在する幹細胞と、それぞれの組織での役割を整理した図解

骨髄には血液をつくる幹細胞がある

骨の内部にある骨髄には、造血幹細胞と呼ばれる幹細胞が存在します。

造血幹細胞は、赤血球、白血球、血小板など、血液を構成するさまざまな細胞のもとになる細胞です。骨髄内では血管の周囲などにつくられた特殊な環境が、造血幹細胞の維持に関わることが研究で示されています。

血液細胞には寿命があるため、体は新しい血液細胞を継続的につくらなければなりません。造血幹細胞は、その仕組みを支える重要な存在です。

骨髄に存在する造血幹細胞から赤血球、白血球、血小板などの血液細胞が生み出される仕組みを示した図解

皮膚や腸にも組織を維持する幹細胞がある

皮膚は外部から刺激を受け続ける組織であり、古い細胞と新しい細胞が入れ替わっています。毛包にも幹細胞が存在し、毛包を構成する細胞の維持などに関わることが報告されています。

また、腸の内側を覆う腸上皮も非常に活発に細胞が入れ替わる組織です。

小腸では「陰窩(いんか)」と呼ばれるくぼみの底部にLgr5陽性の幹細胞が存在し、腸上皮を構成する複数の細胞を生み出すことが動物実験で示されています。

このように、細胞の入れ替わりが盛んな組織では、幹細胞が新しい細胞を供給する役割を担っています。

皮膚の基底層や毛包、腸管陰窩に存在する幹細胞が新しい細胞を供給し、組織の維持に関わることを示した図解

筋肉にも修復に関わる幹細胞がある

骨格筋には、一般に筋サテライト細胞と呼ばれる筋幹細胞が存在します。

普段は比較的静かな状態にありますが、筋肉が損傷した際などには活性化し、筋組織の修復に関わります。

つまり幹細胞は、常に活発に増殖しているとは限りません。組織によっては、必要になるまで一定の状態を保ちながら待機しています。

筋肉の筋サテライト細胞が普段は静止状態にあり、筋損傷をきっかけに活性化して修復に関わる流れを示した図解

脂肪組織にも幹細胞を含む細胞群がある

脂肪組織にも、間葉系の性質を持つ幹細胞・前駆細胞を含む細胞群が存在します。

ヒトの脂肪組織から採取した細胞の中に、脂肪、骨、軟骨など複数の方向へ分化する性質を持つ細胞が存在することは、以前から研究されています。

また、間葉系幹細胞に関連する細胞と血管周囲の細胞との関係も研究されており、複数のヒト組織から分離した血管周囲細胞に間葉系幹細胞に似た性質が確認されています。

脂肪組織は、再生医療における細胞の採取源の一つとしても利用されています。

脂肪組織には脂肪細胞だけでなく、間葉系の幹細胞や前駆細胞を含むさまざまな細胞群が存在することを示した図解

幹細胞が存在する「ニッチ」とは

幹細胞について知るうえで重要な言葉が、「幹細胞ニッチ」です。

ニッチとは、幹細胞が存在する周囲の環境を指します。

幹細胞は単独で働いているのではなく、

  • 周囲の細胞
  • 血管
  • 細胞外マトリックス
  • さまざまな情報伝達物質

などから影響を受けながら、その状態を維持しています。

そのため、「幹細胞がどこにあるか」を考えるときは、単に臓器名を見るだけでなく、どのような環境の中で幹細胞が維持されているのかまで考えることが大切です。

幹細胞ニッチを構成する周囲の細胞、血管、細胞外マトリックス、情報伝達物質と幹細胞の関係を示した図解

体内の幹細胞と再生医療は同じものではない

ここで注意したいのが、もともと体内に存在する幹細胞の働きと、医療として行われる幹細胞治療は同じものではないという点です。

再生医療では、患者様自身の組織から細胞を採取し、必要な加工や培養を行ったうえで投与する方法などがあります。

N2クリニック銀座本院では、脂肪組織を採取源とした幹細胞療法を行っています。ただし、幹細胞療法によって期待できることや適応は、目的や患者様の状態によって異なります。

「体内にもともと幹細胞があるから、投与すれば必ず組織が再生する」という単純な仕組みではありません。治療を検討する際には、治療内容や考えられるリスクを含めて医師から説明を受けることが重要です。

体内にもともと存在する幹細胞の働きと、採取や培養などを経て医療として用いる幹細胞療法の違いを整理した図解

幹細胞について、あわせて確認したい記事

幹細胞が体のどこに存在するのかを理解したうえで、幹細胞の種類や分化の仕組み、脂肪由来・骨髄由来の違いもあわせて確認すると、幹細胞そのものへの理解を深めやすくなります。

幹細胞の種類や基本的な特徴を知りたい

幹細胞とは何か?種類と特徴をわかりやすく解説します

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実際の治療について知りたい方へ

体内にもともと存在する幹細胞の働きと、医療として細胞を採取・培養して用いる幹細胞治療は同じものではありません。治療としての仕組みや考え方はこちらで確認できます。

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幹細胞治療とは?仕組み・特徴・検討前に知っておきたいこと

まとめ

幹細胞は、体の一か所だけに存在する細胞ではありません。

骨髄には血液をつくる造血幹細胞、腸には腸上皮を維持する幹細胞、毛包には毛包を構成する細胞を支える幹細胞が存在し、筋肉や脂肪組織にもそれぞれ特徴の異なる幹細胞・前駆細胞があります。

つまり、幹細胞はそれぞれの組織の中で、細胞の補充や維持、修復に関わる存在と考えるとわかりやすいでしょう。

再生医療を理解する際にも、まず「私たちの体にもともと存在する幹細胞が、どこでどのように働いているのか」を知ることが、その仕組みを理解する第一歩になります。

クリニック案内

N2クリニック銀座本院では、患者様の症状や既往歴などを確認したうえで、脂肪組織由来の細胞を用いた幹細胞療法についてご案内しています。

幹細胞療法はすべての方に一律に適している治療ではないため、適応や治療内容、費用については医師と相談しながら検討することが大切です。詳しくは、からお問い合わせください。

監修クリニック情報

N2クリニック銀座本院
住所:東京都中央区銀座6丁目6-5 HULIC &New GINZA NAMIKI6 11階
TEL:03-3289-0202
診療時間:10:00〜18:30
休診日:日曜日
最寄駅:各線銀座駅B5番出口より徒歩4分

N2クリニックとは

記事監修者名

竹島 昌栄(N2クリニック銀座本院 院長)

医師紹介

参考文献

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  2. Jaks V, et al. Lgr5 marks cycling, yet long-lived, hair follicle stem cells. Nature Genetics. 2008;40:1291-1299.
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  5. Ding L, et al. Endothelial and perivascular cells maintain haematopoietic stem cells. Nature. 2012;481:457-462.
  6. Ding L, Morrison SJ. Haematopoietic stem cells and early lymphoid progenitors occupy distinct bone marrow niches. Nature. 2013;495:231-235.
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