脂肪由来の幹細胞とは?骨髄由来の幹細胞との違いを解説

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脂肪由来の幹細胞の特徴と、骨髄由来の幹細胞との違い

脂肪由来の幹細胞とは、腹部や太ももなどの脂肪組織から採取される幹細胞の一種です。医学的には、間葉系幹細胞、または間葉系間質細胞と呼ばれる細胞群に含まれます。

再生医療では、脂肪由来の幹細胞と骨髄由来の幹細胞のどちらも重要な研究対象です。ただし、採取する場所、採取方法、得られる細胞の量、研究されてきた領域には違いがあります。

大切なのは、「脂肪由来のほうが必ず優れている」「骨髄由来のほうが劣っている」と単純に考えないことです。どちらにも特徴があり、治療目的や身体の状態に応じて、医師が適応を判断する必要があります。

この記事では、脂肪由来の幹細胞とは何か、骨髄由来の幹細胞と何が違うのかを、患者様にもわかりやすい言葉で整理します。

この記事でわかること

  • 脂肪由来の幹細胞の基本的な特徴
  • 骨髄由来の幹細胞との主な違い
  • 脂肪由来の幹細胞が再生医療で検討される理由
  • 治療を検討する際に確認したいポイント

脂肪由来の幹細胞とは

脂肪由来の幹細胞とは、脂肪組織の中に含まれる幹細胞の一種です。主に皮下脂肪から採取され、再生医療の分野では「脂肪由来間葉系幹細胞」や「脂肪由来幹細胞」と呼ばれます。

幹細胞には、自分と同じ細胞を増やす力や、一定の条件下で別の種類の細胞に変化する力があります。脂肪由来の幹細胞は、骨、軟骨、脂肪などの細胞に分化する性質を持つことが研究されています。

また近年は、幹細胞そのものが組織に置き換わる働きだけでなく、サイトカインや成長因子、細胞外小胞などを分泌し、周囲の細胞や炎症環境に関わる働きも注目されています。

脂肪由来の幹細胞は、主に次のような特徴を持つとされています。

  • 腹部や太ももなどの皮下脂肪から採取される
  • 間葉系幹細胞の一種として研究されている
  • 骨、軟骨、脂肪などへの分化能が報告されている
  • 分泌物を介して組織修復や炎症環境に関わる可能性が研究されている

ただし、脂肪由来の幹細胞は「どのような症状にも効果がある細胞」ではありません。実際の治療では、症状の種類、進行度、年齢、生活習慣、既存治療の状況などをふまえて判断する必要があります。

脂肪由来の幹細胞の特徴や採取部位、分化能、分泌物を介した働きを整理した図解

骨髄由来の幹細胞とは

骨髄由来の幹細胞とは、骨の内部にある骨髄から採取される幹細胞のことです。骨髄は血液をつくる働きに関わる組織として知られていますが、間葉系幹細胞の供給源としても長く研究されてきました。

骨髄由来の間葉系幹細胞は、再生医療研究の中でも歴史が長く、骨や軟骨、関節、免疫調整などに関する研究で多く扱われてきた背景があります。

一方で、骨髄から細胞を採取する場合には、骨髄穿刺と呼ばれる手技が必要になります。採取部位や手技の内容が脂肪組織からの採取とは異なるため、身体的な負担や採取できる細胞量の考え方も変わります。

つまり、骨髄由来の幹細胞は、研究の蓄積がある重要な細胞であり、脂肪由来の幹細胞とは異なる特徴を持つ選択肢の一つです。

骨髄由来の幹細胞の特徴や骨髄からの採取、研究されてきた領域を紹介する図解

脂肪由来と骨髄由来の幹細胞は何が違うのか

脂肪由来の幹細胞と骨髄由来の幹細胞は、どちらも間葉系幹細胞として研究されています。共通点がある一方で、採取する場所や細胞の得られやすさ、研究されてきた背景に違いがあります。

まず大きな違いは、採取する組織です。

脂肪由来の幹細胞は、腹部や太ももなどの脂肪組織から採取されます。骨髄由来の幹細胞は、骨の内部にある骨髄から採取されます。どちらも医療行為として適切な手技と管理が必要ですが、採取方法は同じではありません。

次に、得られる細胞量の考え方にも違いがあります。脂肪組織は体内に比較的多く存在し、間葉系幹細胞を得る供給源として研究されてきました。研究では、脂肪組織から多系統に分化する細胞が得られることが報告され、脂肪由来幹細胞の研究が広がるきっかけとなりました。

一方で、骨髄由来の幹細胞は研究の歴史が長く、これまで多くの基礎研究や臨床研究で扱われてきました。特に骨や軟骨などの領域では、骨髄由来の間葉系幹細胞に関する知見が積み重ねられています。

増殖のしやすさや分化の傾向についても、脂肪由来と骨髄由来では違いがあることが報告されています。ただし、研究結果は培養条件、採取方法、ドナーの年齢や健康状態などによって変わるため、単純に一方だけが優れているとはいえません。

脂肪由来幹細胞と骨髄由来幹細胞の採取部位、採取方法、得られる細胞量、研究背景の違いを比較した図解

脂肪由来の幹細胞が再生医療で検討される理由

脂肪由来の幹細胞が再生医療で検討される理由は、主に「採取部位」「細胞を得やすいこと」「分泌物を介した働きが研究されていること」にあります。

脂肪組織は、腹部や太ももなどに存在するため、一定量の組織を採取しやすい部位の一つと考えられています。採取は医師の判断のもとで行われ、局所麻酔下で実施される場合もあります。

また、脂肪組織は間葉系幹細胞の供給源として研究されており、細胞を培養して治療に用いる方法が検討されてきました。細胞を扱う医療では、採取後の培養、品質管理、投与までの工程が重要になります。

さらに、脂肪由来の幹細胞は、サイトカイン、成長因子、細胞外小胞などを分泌することが知られています。これらは、炎症や組織修復に関わる環境を調整する可能性が研究されています。

そのため、脂肪由来の幹細胞は、膝関節、皮膚、毛髪、慢性炎症に関わる領域などで研究対象となっています。ただし、研究されていることと、すべての症状に対して効果が確立していることは同じではありません。治療を検討する際は、期待できることと限界を分けて理解することが大切です。

脂肪由来の幹細胞が再生医療で検討される理由として、採取部位、細胞の得やすさ、分泌物を介した働きを整理した図解

「どちらが優れているか」ではなく、目的に合わせて考える

脂肪由来の幹細胞と骨髄由来の幹細胞を比較するときは、「どちらが上か」という考え方ではなく、「どの目的に対して、どのように使われるのか」を見ることが大切です。

脂肪由来の幹細胞には、脂肪組織から採取できること、比較的まとまった量の組織を採取しやすいこと、分泌物を介した働きが研究されていることなどの特徴があります。

骨髄由来の幹細胞には、研究の歴史が長く、骨や軟骨などの領域で多く扱われてきた背景があります。

しかし、実際の治療では、細胞の由来だけで判断することはできません。次のような要素を総合的に確認する必要があります。

  • 治療の目的
  • 症状や疾患の進行度
  • 年齢や全身状態
  • 採取できる組織や細胞の状態
  • 既存治療との関係
  • 治療後の経過観察の方法

再生医療は、患者様ご自身の状態に合わせて慎重に検討する医療です。「脂肪由来だからよい」「骨髄由来だからよい」と決めるのではなく、医師から説明を受けたうえで、目的に合う選択肢かどうかを確認しましょう。

脂肪由来と骨髄由来の幹細胞を優劣ではなく、治療目的や身体の状態に合わせて考える視点を整理した図解

治療を検討するときに確認したいこと

脂肪由来の幹細胞を用いた治療を検討する際は、細胞の種類だけで判断せず、治療の目的、適応、リスク、費用、経過観察について確認することが大切です。

相談時には、次のような点を医師に確認すると判断しやすくなります。

  • 自分の状態で脂肪由来の幹細胞を検討できる理由
  • 骨髄由来の幹細胞や他の治療法との違い
  • 治療によって期待できることと、期待しすぎないほうがよいこと
  • 採取、培養、投与に伴う主なリスク
  • 治療後の経過観察や再診の流れ

特に自由診療として幹細胞治療を検討する場合は、費用や治療回数だけでなく、治療の位置づけを理解することが重要です。再生医療等提供計画に関する手続きや、細胞の品質管理体制についても確認しておくとよいでしょう。

脂肪由来の幹細胞は、再生医療の選択肢の一つとして研究・臨床応用が進んでいますが、すべての方に同じように適しているわけではありません。診察や検査を通じて、治療の必要性や適応を個別に判断することが大切です。

脂肪由来幹細胞や骨髄由来幹細胞を用いた治療を検討する際に確認したい、適応、リスク、費用、経過観察のポイントをまとめた図解

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まとめ

脂肪由来の幹細胞とは、脂肪組織から採取される間葉系幹細胞の一種です。脂肪組織から採取できること、細胞を得る供給源として研究されていること、サイトカインや成長因子などを介した働きが注目されていることから、再生医療の分野で検討されることがあります。

骨髄由来の幹細胞は、骨髄から採取される幹細胞で、間葉系幹細胞研究の中でも長い歴史を持ちます。脂肪由来と骨髄由来には共通点もありますが、採取方法、得られる細胞量、研究されてきた領域には違いがあります。

大切なのは、一律に優劣をつけるのではなく、ご自身の状態や治療目的に合わせて考えることです。脂肪由来の幹細胞を用いた治療に関心がある場合は、医師に相談し、期待できること、限界、リスクを理解したうえで判断しましょう。

クリニック案内

N2クリニック銀座本院では、幹細胞療法を検討される方に対して、治療目的、適応、リスク、経過観察の考え方を含めて説明を行っています。

脂肪由来の幹細胞を用いた治療は、患者様ご自身の細胞を扱う医療であり、採取から培養、投与、経過観察までの管理が重要です。

治療内容や費用、適応について確認したい方は、からご確認ください。

監修クリニック情報

N2クリニック銀座本院
住所:東京都中央区銀座6丁目6-5 HULIC &New GINZA NAMIKI6 11階
TEL:03-3289-0202
診療時間:10:00〜18:30
休診日:日曜日
最寄駅:各線銀座駅B5番出口より徒歩4分

N2クリニックとは

記事監修者名

竹島 昌栄(N2クリニック銀座本院 院長)

医師紹介

参考文献

  • Zuk PA, et al. Multilineage Cells from Human Adipose Tissue: Implications for Cell-Based Therapies. Tissue Engineering. 2001.
  • Bourin P, et al. Stromal cells from the adipose tissue-derived stromal vascular fraction and culture expanded adipose tissue-derived stromal/stem cells. Cytotherapy. 2013.
  • Mohamed-Ahmed S, et al. Adipose-derived and bone marrow mesenchymal stem cells: a donor-matched comparison. Stem Cell Research & Therapy. 2018.
  • Ceccarelli S, et al. Immunomodulatory Effect of Adipose-Derived Stem Cells. 2020.
  • 厚生労働省. 再生医療等提供計画の提出等について(概要).
  • 厚生労働省. 届出された再生医療等提供計画(治療)の一覧.
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