高齢でも自分の幹細胞は使える?採取・培養と年齢の関係
「70代、80代になっても、自分の幹細胞は使えるのでしょうか」
幹細胞療法を検討している方にとって、年齢は気になるポイントの一つです。
結論からいうと、高齢の方でも脂肪から幹細胞を採取し、培養によって増やすことができます。
年齢を重ねたからといって、ある年齢を境に脂肪組織から幹細胞がなくなるわけではありません。また、採取した脂肪由来幹細胞は、培養によって細胞数を増やしていきます。
一方、研究では、年齢によって培養時の増殖速度などに違いがみられたという報告もあれば、明確な年齢差はみられなかったという報告もあります。
そのため大切なのは、「高齢だから無理」と年齢だけで判断するのではなく、自分の場合に治療を検討できるかを確認することです。
この記事でわかること
- 高齢でも幹細胞を採取できるのか
- 採取した幹細胞を培養して増やせるのか
- 年齢によって細胞の増え方に違いはあるのか
- 高齢だと治療効果も低くなるのか
高齢でも幹細胞は採取できる?
高齢の方でも、脂肪組織から幹細胞を採取することができます。
脂肪組織には、間葉系幹細胞(MSC)と呼ばれる細胞が存在しています。これらの細胞は、年齢を重ねたからといって、一定の年齢で突然なくなるものではありません。
実際に、高齢者から採取した脂肪由来幹細胞を用いて、増殖能力や細胞の特徴を調べた研究も数多く行われています。
そのため、
- 70代だから採取できない
- 80代だから自分の幹細胞は使えない
と、年齢だけを理由に考える必要はありません。
ただし、実際に脂肪採取を行えるかどうかは、年齢ではなく全身状態や基礎疾患、服用している薬なども含めて医師が確認します。
高齢でも幹細胞は培養して増やせる?
採取した脂肪由来幹細胞は、高齢の方でも培養によって増やすことができます。
幹細胞療法では、脂肪組織から幹細胞を取り出し、培養して細胞数を増やしていきます。
高齢の方の中には、
「年齢が高いと細胞そのものが増えないのでは?」
と心配される方もいるかもしれません。
しかし、高齢者由来の脂肪幹細胞でも、培養によって増殖することは確認されています。
一方で、年齢による影響については研究結果が一致しているわけではありません。
高齢者由来の脂肪由来幹細胞では、若年者由来の細胞に比べて増殖が遅くなったという報告があります。その一方で、年齢によって増殖速度や細胞が倍になるまでの時間に明確な差がみられなかったという研究もあります。
つまり、高齢でも幹細胞を培養して増やすことはできますが、増えるスピードなどには個人差があります。
年齢によって細胞の増え方は変わる?
年齢は、培養時の細胞の増え方に影響する可能性がある要素の一つです。ただし、年齢だけですべてが決まるわけではありません。
高齢者由来の脂肪由来幹細胞について調べた研究では、若年者由来の細胞と比べて増殖能力が低かったり、細胞老化に関連する特徴が多くみられたりしたという報告があります。
一方で、別の研究では、年齢による増殖能力の明確な差は確認されませんでした。
さらに2024年の研究でも、若年者と高齢者の脂肪由来幹細胞を比較したところ、幹細胞としての特徴や、周囲の細胞に働きかける機能など、多くの項目で大きな年齢差は認められなかったと報告されています。
このことから、「高齢になるほど必ず幹細胞が増えにくくなる」と単純に考えることはできません。
年齢は一つの目安ではありますが、実際の培養では、採取した細胞がどのように増えるかを確認することが重要です。

高齢だと幹細胞療法の効果も低くなる?
ここは、高齢の方にとって特に気になるところでしょう。
現在のところ、「高齢だから幹細胞療法の効果が低くなる」と年齢だけを理由に判断することはできません。
研究室で細胞を調べたときに、年齢によって増殖速度などに違いがみられることはあります。
しかし、培養中の細胞の増え方と、実際に体内へ投与したあとの治療結果は同じものではありません。
65歳以上の変形性膝関節症患者に対する自家脂肪由来幹細胞治療について、複数の臨床研究をまとめた2024年のシステマティックレビューでは、対象となった研究で痛みや膝機能などの臨床指標の改善が報告されています。
ただし、この研究は「高齢者でも若年者と同じ治療効果が得られる」と証明したものではありません。
そのため、
「高齢だから効果がない」
と考える必要はありませんが、
「年齢はまったく影響しない」
とも断定できません。
治療の適否や治療後の経過は、年齢だけではなく、症状や疾患の状態、全身状態なども含めて考える必要があります。
高齢の方はどう判断すればいい?
まず、年齢だけで幹細胞療法を選択肢から外さないことです。
高齢の方でも、脂肪から幹細胞を採取し、培養によって増やすことができます。
そのうえで、実際に治療を検討するときには、
- 脂肪採取を行える健康状態か
- 現在治療している病気はあるか
- 服用している薬に問題はないか
- 現在の症状に対して幹細胞療法を検討することが適切か
- 培養した細胞が治療に用いるための基準を満たしているか
などを確認します。
つまり、高齢の方が考えるべきなのは、
「もうこの年齢だから無理なのではないか」
ではなく、
「自分の場合は治療を検討できるのか」
ということです。
患者様ご自身が、年齢だけを見て治療の可否を判断する必要はありません。
まず医師の診察を受け、ご自身の健康状態や症状、治療目的を確認したうえで、幹細胞療法が選択肢になり得るかを検討することが大切です。
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幹細胞療法を検討できるかどうかは、年齢だけではなく、症状や健康状態、治療目的などを含めて判断する必要があります。治療の適応についてはこちらで確認できます。
幹細胞治療の適応・適応外とは?受けられる人・受けられない人を解説
まとめ
高齢の方でも、脂肪組織から幹細胞を採取し、培養によって増やすことができます。
年齢によって培養時の増殖速度などに違いがみられたという研究はありますが、明確な年齢差がみられなかった研究もあり、結果は一様ではありません。
また、培養時の細胞の増え方と、実際の治療効果は分けて考える必要があります。
現在のところ、高齢だから幹細胞療法の効果が低いと年齢だけで判断することはできません。
大切なのは「何歳だからできない」と考えることではなく、現在の健康状態や症状などを確認し、自分の場合に治療を検討できるかを個別に判断することです。
クリニック案内
N2クリニック銀座本院では、患者様ご自身の脂肪組織から採取した幹細胞を培養して用いる幹細胞療法を行っています。
高齢の方についても、年齢だけで治療の可否を判断するのではなく、健康状態や治療目的などを確認したうえで、治療の適応を個別に検討します。
「自分の年齢でも幹細胞を採取・培養できるのか」「現在の状態で幹細胞療法を検討できるのか」と気になる方は、治療内容や費用、適応も含めて、ご予約・ご相談からご確認ください。
※幹細胞療法は自由診療です。治療の適応や経過には個人差があり、診察結果によっては治療をご案内できない場合があります。
監修クリニック情報
N2クリニック銀座本院
住所:東京都中央区銀座6丁目6-5 HULIC &New GINZA NAMIKI6 11階
TEL:03-3289-0202
診療時間:10:00〜18:30
休診日:日曜日
最寄駅:各線銀座駅B5番出口より徒歩4分
記事監修者名
竹島 昌栄(N2クリニック銀座本院 院長)
参考文献
- Choudhery MS, et al. Donor age negatively impacts adipose tissue-derived mesenchymal stem cell expansion and differentiation. Journal of Translational Medicine. 2014.
PubMedで確認する - Ding DC, et al. Human adipose-derived stem cells cultured in keratinocyte serum free medium: donor's age does not affect the proliferation and differentiation capacities. Journal of Biomedical Science. 2013.
PubMedで確認する - Trotzier C, et al. Deciphering influence of donor age on adipose-derived stem cells: in vitro paracrine function and angiogenic potential. Scientific Reports. 2024.
PubMedで確認する - Zampogna B, et al. Safety and efficacy of autologous adipose-derived stem cells for knee osteoarthritis in the elderly population: A systematic review. Journal of Clinical Orthopaedics and Trauma. 2024.
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