免疫細胞療法と免疫療法の違いを、治療前に整理する
免疫細胞療法とは、体に備わっている免疫細胞の働きに着目した医療の一つです。患者様ご自身の血液などから免疫細胞を採取し、体外で培養・活性化したうえで体内に戻す方法が検討されることがあります。
よく似た言葉に「免疫療法」がありますが、両者は同じ意味ではありません。免疫療法は、免疫の仕組みを利用する治療全体を指す広い言葉で、免疫細胞療法はその中の一つとして考えられます。
また、がん治療では、手術・薬物療法・放射線治療が「がんの3大治療法」として説明されることがあります。免疫細胞療法を検討する際は、これらの治療との関係を整理し、現在の治療方針とどう位置づくのかを確認することが大切です。
この記事では、免疫細胞療法の基本、免疫療法との違い、がんの3大治療法との関係、治療前に知っておきたい注意点を整理します。
この記事でわかること
- 免疫細胞療法の基本的な考え方
- 免疫療法と免疫細胞療法の違い
- がんの3大治療法との関係
- NK細胞療法や樹状細胞療法の位置づけ
- 治療前に確認したいポイント
免疫細胞療法とは
免疫細胞療法は、免疫細胞の働きを活かすことを目指す医療です。
私たちの体には、ウイルスや細菌などの外敵に反応する仕組みがあります。さらに、体内で生じた異常な細胞を見つけ、排除しようとする働きもあります。この仕組みに関わっているのが、NK細胞、T細胞、B細胞、樹状細胞などの免疫細胞です。
免疫細胞療法では、こうした細胞のうち、特定の免疫細胞に着目します。採取した細胞を体外で培養・活性化し、治療目的に応じて体内へ戻す方法が検討されます。
大切なのは、免疫細胞療法を「免疫を強くする治療」と単純に考えないことです。免疫は、強さだけでなく、必要な場面で適切に働くバランスが重要です。
免疫療法と免疫細胞療法の違い
免疫療法は、免疫の仕組みを利用する治療全体を指す言葉です。がん治療の分野では、免疫チェックポイント阻害薬のように、免疫の働きを調整する薬剤を用いる治療が知られています。
一方、免疫細胞療法は、免疫細胞そのものを採取し、培養・活性化などの工程を経て体内に戻す治療を指すことが多い言葉です。
つまり、免疫療法という大きな枠の中に、免疫細胞療法が含まれると考えると理解しやすいでしょう。
ただし、すべての免疫療法が同じように標準治療として位置づけられているわけではありません。国立がん研究センターは、がんに対する免疫療法について、効果が科学的に証明された免疫療法の中心は免疫チェックポイント阻害薬などであると説明しています。
免疫細胞療法を検討する場合は、「免疫療法」という言葉だけで判断せず、どのような治療なのか、保険診療か自由診療か、現在の治療とどう関係するのかを確認しましょう。
がんの3大治療法との関係
がん治療では、手術、薬物療法、放射線治療が「がんの3大治療法」として説明されることがあります。
手術は、がんを取り除くことを目的とした治療です。放射線治療は、がんのある部位に放射線をあてる治療です。薬物療法は、抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などの薬を用いて行われます。薬物療法は、多くの場合、全身に作用する治療として説明されています。
免疫療法の中でも、免疫チェックポイント阻害薬は薬を使う治療であり、薬物療法の一部として扱われることがあります。
一方で、自由診療として行われる免疫細胞療法は、標準治療とは位置づけが異なります。がん治療中の方が免疫細胞療法を検討する場合は、3大治療法の代わりとして自己判断で選ぶのではなく、現在の治療方針との関係を医師に確認することが大切です。
この整理ができると、免疫細胞療法を「受けるかどうか」ではなく、「自分の状態や目的に合う選択肢かどうか」という視点で考えやすくなります。
免疫細胞療法の主な種類
免疫細胞療法には、着目する細胞によっていくつかの種類があります。ここでは代表的なものを簡単に整理します。
NK細胞療法は、自然免疫に関わるNK細胞に着目した治療です。NK細胞は、異常な細胞に早い段階で反応する細胞として知られています。
樹状細胞療法は、免疫に情報を伝える樹状細胞に着目した治療です。樹状細胞は、異物や異常細胞の情報を取り込み、T細胞に伝える役割を持ちます。
また、NK細胞と樹状細胞を組み合わせて考える治療もあります。異常な細胞に反応する細胞と、免疫に情報を伝える細胞では役割が異なるためです。
どの治療が適しているかは、治療名だけでは判断できません。現在の体調、治療歴、検査結果、治療の目的をふまえて、医師と相談しながら検討することが大切です。
治療前に確認したい注意点
免疫細胞療法を検討する際は、前向きに可能性を考えながらも、確認すべき点を整理しておくことが大切です。
患者様ご自身の細胞を使う治療であっても、採血、細胞の培養・加工、投与、投与後の経過観察が必要になります。体調によっては、発熱、倦怠感、アレルギー反応、注射部位の痛みなどに注意が必要な場合もあります。
相談時には、次の点を確認しておくと安心です。
- 自分の状態で免疫細胞療法を検討できる理由
- がんの3大治療法や現在受けている治療との関係
- 治療によって期待されることと限界
- 採血、培養、投与に伴う主なリスク
- 費用、治療回数、通院頻度
- 治療後の経過観察の方法
細胞を扱う医療では、細胞の品質管理や提供体制も重要です。再生医療等を提供する場合には、再生医療等提供計画に関する手続きなどが定められています。
不安な点を一つずつ確認することで、治療への理解が深まり、自分に合う選択肢かどうかを判断しやすくなります。
治療内容や費用、適応については、 免疫細胞療法の詳細ページ もご確認ください。
まとめ
免疫細胞療法とは、免疫細胞の働きに着目し、体外で培養・活性化した細胞を体内に戻すことなどを通じて、免疫の働きを支えることを目指す医療です。
免疫療法は、免疫を利用する治療全体を指す広い言葉です。その中に、免疫チェックポイント阻害薬、CAR-T細胞療法、ワクチン療法、免疫細胞療法など、さまざまな考え方が含まれます。
がん治療では、手術、薬物療法、放射線治療が3大治療法として説明されることがあります。免疫細胞療法を検討する際は、これらの標準的な治療との関係を整理し、自分の状態や目的に合う選択肢かどうかを確認することが大切です。
治療名だけで判断せず、期待できること、限界、リスク、費用、経過観察の方法を整理したうえで、医師と相談しながら検討しましょう。
クリニック案内
N2クリニック銀座本院では、免疫細胞療法に関心がある方に対して、治療目的、適応、リスク、費用、治療後の経過観察について説明し、NK細胞療法、DC樹状細胞療法、NK免疫細胞+DC樹状細胞療法を扱っています。
免疫細胞療法は、患者様ご自身の細胞や免疫状態に関わる医療です。治療前には現在の体調、治療歴、服用中の薬、既往歴などを確認し、適応を個別に判断します。
治療内容や費用、適応について確認したい方は、ご予約・ご相談からご確認ください。
監修クリニック情報
N2クリニック銀座本院
住所:東京都中央区銀座6丁目6-5 HULIC &New GINZA NAMIKI6 11階
TEL:03-3289-0202
診療時間:10:00〜18:30
休診日:日曜日
最寄駅:各線銀座駅B5番出口より徒歩4分
記事監修者名
竹島 昌栄(N2クリニック銀座本院 院長)
参考文献
- 国立がん研究センター がん情報サービス. 薬物療法
- 国立がん研究センター がん情報サービス. 放射線治療
- 国立がん研究センター がん情報サービス. 免疫療法
- 国立がん研究センター がん情報サービス. 免疫療法
- 厚生労働省. 再生医療等提供計画の提出等について(概要
- 厚生労働省. 再生医療等について:関係法令、その他関係通知等
